概要
本ガイドラインは、日本歯内療法学会によって作成され、歯内療法(根管治療)に関する診療の標準化を目的としています。特に、初回根管治療に関する治療法の選択や、術後の鎮痛薬・抗菌薬の使用に関するエビデンスを整理し、推奨事項を提示しています。
主要なクリニカルクエスチョン(CQ)と推奨事項
CQ1:初回根管治療において 1 回法は複数回法よりも有効か?
推奨:
- 1回法を弱く推奨する(エビデンスの確実性:低)
- 1回法は複数回法に比べて 治療の成功率がやや高い可能性がある ものの、術後痛や腫脹の発生率が高くなる傾向が示された。
- 重要なポイント:
- 1回法は治療時間が長くなるため、術者の技量や患者の状況を考慮すべき。
- どちらの治療法も、ラバーダム防湿や適切な仮封を徹底することが重要。
CQ2:初回根管治療(生活歯・失活歯)における処置後の鎮痛薬処方は行うべきか?
推奨:
- 処置後の鎮痛薬処方を弱く推奨する(エビデンスの確実性:低)
- イブプロフェンやアセトアミノフェンの併用が術後疼痛の軽減に有効である可能性が示唆された。
- 重要なポイント:
- 術前に痛みがある場合、術後の疼痛が大きくなる傾向がある。
- 鎮痛薬の選択は患者の体質や禁忌を考慮する必要がある。
CQ3:初回根管治療(失活歯)における処置後の抗菌薬処方は行うべきか?
推奨:
- 抗菌薬の処方を行わないことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:非常に低)
- 抗菌薬を処方しても術後の疼痛や腫脹の軽減には効果がないとするエビデンスがある。
- 重要なポイント:
- 抗菌薬の不適切な使用は耐性菌の発生リスクを高めるため、慎重に判断すべき。
- ただし、急性感染が広がるリスクがある場合(発熱や全身症状を伴う場合)は例外として処方を考慮する。
ガイドラインの作成背景と目的
- 目的:患者のQOL向上と、適切な根管治療の普及
- 作成方法:
- GRADEシステムを用いてエビデンスの確実性を評価
- 臨床医・専門家・患者代表を含むパネル会議で推奨を決定
- 対象:成人の永久歯に対する根管治療(乳歯は対象外)
- 利用者:歯科医師、歯科医療従事者、患者およびその家族
まとめ
本ガイドラインは、科学的根拠に基づいて根管治療の方法を整理し、推奨事項を示しています。1回法の適用、術後の鎮痛薬使用、抗菌薬の適応について、エビデンスをもとに慎重に判断すべきことが強調されています。









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