こんにちは、倉敷市連島町の矢部歯科医院です。
今日は、被せ物(クラウン)を長持ちさせ、歯の破折を防ぐために重要な**「フェルール(Ferrule)」**についてお話しします。
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フェルールとは?
フェルールとは、被せ物(クラウン)や土台(支台歯)をしっかり固定し、歯の根(歯根)を保護するための構造を指します。
具体的には、歯の根の周囲に少なくとも1.5〜2mmの健康な歯質が残っている状態をフェルール効果といいます。これにより、クラウンがしっかりと歯に固定され、外れにくくなり、歯の破折(ひび割れ)を防ぐ効果があります。
フェルールの役割
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クラウンや支台の脱離(外れ)を防ぐ
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噛む力による歯根破折を予防する
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歯の寿命を延ばし、再治療を防ぐ
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なぜフェルールが重要なのか?
① フェルールがないとクラウンが脱離しやすくなる
フェルールの高さが確保されていないと、クラウンがしっかり固定されず、噛む力の影響で外れやすくなります。特に、前歯や奥歯の強い噛み合わせの力がかかる部位では、フェルールの有無が長期的な安定性を左右します。
② 歯根破折のリスクを減らす
フェルールがあることで、噛む力が均等に分散され、歯根が割れるリスクを減らすことができます。特に、神経を抜いた歯(失活歯)は水分を失い脆くなっているため、フェルールがないと強い力が加わった際に歯根が折れてしまうことがあります。
③ 予後の良い治療ができる
フェルールをしっかり確保できると、クラウンの適合性が向上し、長期間安定した状態を維持できます。結果的に、歯の寿命が延び、抜歯のリスクを減らすことができます。
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フェルールを確保するための方法
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できるだけ健康な歯質を残す
虫歯の治療や根管治療の際、可能な限り歯を削りすぎないようにします。初期の虫歯であれば、極力歯を温存する治療が推奨されます。
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矯正的挺出(きょうせいてきていしゅつ)
もしフェルールが確保できない場合、矯正治療で歯を少し引き上げ、健康な歯質を露出させる方法があります。これにより、フェルールを確保しながら歯を守ることができます。
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クラウンレングスニング(歯冠長延長術)
歯ぐきを外科的に調整し、健康な歯質を確保する方法です。フェルールを作るために行われる処置の一つです。
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抜歯してインプラントやブリッジにする選択肢も
もし十分なフェルールが確保できず、長期的な予後が不安な場合は、抜歯してインプラントやブリッジなどの別の治療を考えることもあります。
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フェルールを意識した歯の治療が大切!
被せ物を長く安定させるためには、フェルールを確保することが非常に重要です。
特に、根管治療(歯の神経の治療)を受けた歯では、適切なフェルールがないとクラウンが脱離したり、歯が折れたりする可能性が高くなります。
治療計画を立てる際に、フェルールの確保が難しい場合でも、適切な処置を行うことで、歯を長持ちさせる可能性を高めることができます。
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まとめ
✔ フェルールとは、支台歯の歯根を保護する構造のこと
✔ フェルールがないと、クラウンが外れたり、歯が割れるリスクが高まる
✔ 矯正や外科処置でフェルールを確保する方法もある
✔ フェルールを考慮した治療を行うことで、歯を長持ちさせることができる
当院では、フェルールを考慮した治療計画を大切にし、患者様の歯をできるだけ長く残せるよう心がけています。
被せ物のトラブルや、歯の治療でお悩みの方は、お気軽にご相談ください!
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